税務会計の一里塚 ~キャッシュ・フロー計算書の成立ちと役立ちNo4~
- 赤田 元日出
- 2024年10月6日
- 読了時間: 3分
前回(No3)では、
固定資産の購入を借入金で賄った場合の損益とキャッシュ・フローを確認してみました。
表示の見にくさが目立ってきましたので
今回は、キャッシュ・フロー計算書のフォームを
利用したいと思います。

【図1】は、前回で説明した借入による固定資産購入の場合の損益とキャッシュ・フローです。
これを、キャッシュ・フロー計算書のフォームにまとめたのが【図2】です。
(単位は、円でも、千円でも、万円でも、わかりやすいように、読んでください)
フォームは、キャッシュ(資金)の動きを、大きく3つに分類しています。
・営業活動によるキャッシュ・フロー
・投資活動によるキャッシュ・フロー
・財務活動によるキャッシュ・フロー
1,営業活動によるキャッシュ・フロー
事業を行うことにより、キャッシュがいくら増えたか減ったを表します。
最初の金額は、税引き前利益から始まります。
この税引前の利益が、そのままキャッシュの増減を表さないことは
すでに説明しました。
そのため、調整する項目・金額を加減算していくのですが
今回の例では、減価償却費を調整することになります。
そして、一度、小計で区切り、その後に税金を控除します。
税金支払いは、直接の営業活動とは言えないために、
「小計」を算定して、税金の影響を除いたキャッシュ・フローを確認しています。
2,投資活動によるキャッシュ・フロー
「投資」という区分になりますから、
株式や債券への投資のことと思われるかもしれませんが
「事業発展のための投資活動」という意味合いで
株式や債券への投資にとどまらず、
工場建設、機械購入、車両購入などの固定資産購入も含まれます。
中小企業の場合は、株式や債券購入よりも、
固定資産購入パターンが多いのではないでしょうか。
3,財務活動によるキャッシュ・フロー
財務に関する資金の動きを表します。
直接的には、出資の受入れ、払い戻し、借入による収入、借入返済による支出が含まれます。
それでは、【図2】を見ていきます。
営業活動によるキャッシュ・フローは+572です。
投資活動によるキャッシュ・フローは△500です。
財務活動によるキャッシュ・フローは+500です。
上記の3つのキャッシュ・フローを合計すると
事業全体の現預金増減高が算出され、+572となります。
(【図1】【図2】ともに、+572で一致しています)
数字だけみると、抽象的になりますが
これを具体的に解釈してみると
例えば、
この会社は、事業を行うことで、572(万円)のキャッシュ(資金)を創出している。
順調な事業を拡大するために(または新規事業展開のために)、500(万円)の投資活動を行っていて、
その資金需要を賄うために、500(万円)の借入を行った。
ということになるでしょう。
【図1】では、一定期間のキャッシュ(資金)の増減額しかわかりませんでしたが
【図2】のキャッシュ・フローのフォームにまとめることで、
見やすい上に、深い解釈ができるようになりました。
解釈できるようになったことは、大変重要です。
No1の回で、会社まはた個人事業にとって、損益は大事であるが
資金(現預金)は、もっと重要であることを述べました。
いま、キャッシュ・フロー計算書のフォームを理解したことにより
資金の動きを、
3つの要因(営業活動、投資活動、財務活動)に分類して
検討できるようになりました。
さらに、私が重視しているのが「現預金増加高」です。
実際にキャッシュ(資金)が増加したのか(貯金が増えたのか)、
減少したのか(貯金が減少したのか)を確認する必要があるのです。
今回の説明により、
事業にとって重要なキャッシュ(資金)について、
検討できる方法を手に入れたことになります。
今後は、このキャッシュ・フロー計算書のフォームを用いて
説明していきます。
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