税務会計の一里塚 ~キャッシュ・フロー計算書の成立ちと役立ちNo9~
- 赤田 元日出

- 3月2日
- 読了時間: 2分
前回は、「成長拡大型」のパターンを概観しました。
今回は、「縮小衰退型」の形を見ていきます。
「縮小衰退型」の大きな特徴は
資金が減少していくところにあります。

【図1】をみると
営業活動キャッシュフローがマイナスで
さらに、借入元本の返済(財務活動キャッシュ・フロー)がマイナスで
合計して、現預金増減がマイナスになっています。
この状態が続けば、
貯金が減少を続け、運転資金が不足してしまうことになります。
仮に、この場合、
営業活動キャッシュ・フローが「+100」であったとしても
現預金増減は「-100」となり
やはり、貯金は減少してしまいますので
縮小傾向にあると言えます。
では、次に
このような状況にあるときに
資金を捻出するために不要不急の手元資産を売却することが
一般的に行われます。

【図2】を見ると
先ほどの【図1】に、投資活動キャッシュ・フローが「+600」となっており
不要な固定資産(例えば車両、機械など)または投資用の株式などを売却して
資金を創出しています。
ただし、これも一時しのぎの策でしかなく
営業活動キャッシュ・フローがプラスに転じて
さらに、借入返済を賄うことができなければ
依然として、資金流出は止められません。
これを、人に例えてみると
給料以上の生活レベルであり、
さらに住宅ローンなどの借金返済に追われている。
その資金を工面するために
質屋に、形見の指輪や高級腕時計を売却した、
という感じになるでしょう。
「縮小衰退型」に陥っている場合の対応策としては
何よりもまず、本業の立て直しになります。
しかし、事業が回復するには一定の時間を要しますから
営業活動キャッシュフローが、プラスであるならば
金融機関に相談して
その範囲内で元本返済するように条件変更するか
営業活動キャッシュフローが、マイナスであるならば
追加融資および元本据置きを含めて、相談することになるでしょう。
ただ、
「縮小衰退型」に陥る前に
現場の状況や、財務資料には
危険信号が現れているはずですから
その時点で、しっかり対応していくのが
安定的に事業経営していくための重要事項になります。



























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