税務会計の一里塚 ~キャッシュ・フロー計算書の成立ちと役立ちNo8~
- 赤田 元日出

- 2月2日
- 読了時間: 3分
前回は、「創業回復型」のパターンを概観しました。
今回は、事業が創業期から成長期に移行したときに現れる「成長拡大型」のパターンを確認します。
前回の「創業回復型」のパターンは
【図1】のように、「-、-、+」の配列でした。

この事業が順調に成長した場合には
売上高が伸び、しっかりと利益が生み出され、
営業活動キャッシュ・フローが潤沢に創出されます(400)。
そして、創業時の借入元本を、
営業で獲得した資金から
毎期滞りなく返済していきます(-50)。
これを表すと【図2】です。

+-の配列は
上から「+、(0)、-」です。
そして、重要なのが、現預金増減が必ず「+」になることです。
たとえ「+、(0)、-」配列になっていても
現預金増減が、マイナスですと、
資金は増加せずに、貯金を食いつぶしていきますので、
縮小衰退へと向かっていきます。
元本を返済してもなお現預金増加がプラスであれば、
会社の貯金は増加していき、成長へとつながっていきます。
この拡大成長パターンを
給与所得のある個人に例えるなら、
以前に、住宅を購入したり、車両を購入して借金がある場合に、
昇給があって、その債務を楽に返済できるようになり
貯金も増加している、という状況と言えるでしょう。
では、【図3】のような場合は、どう判断できるでしょう。

【図2】に、
固定資産購入による支出 ー300
新規借入による収入 +300
が加わっていて
拡大成長にある会社が、
借入300をもとに
新規投資300を行っています。
これは、
創業からの事業が成長してきて成功しているので
例えば、
生産量を増量するために工場建築や機械導入、新たな支店営業所の開設をおこなっているなどと
見ることができて、拡大成長型と判断できます。
上場企業の場合でしたら、公表されている情報をもとに、
実際にどのような投資がなされているかを確認できるでしょう。
今回は、創業した事業が軌道に乗った場合のパターンを見てきました。
前回確認した「創業回復型」は、「創業型」「回復型」の二種類どちらにも見られるパターンでした。
創業した事業(「創業型」)が、順調に成長した場合には、「拡大成長が」へ移行しますし、
また、事業が衰退期に入り、テコ入れした(「回復型」)のちに
経営が復活していくときにも「拡大成長型」現れます。
経営にとって、「拡大成長型」は
大歓迎のパターンです。
ただし、事業は必ずしも楽観的に進むとはかぎりません。
そのような場合に警告してくれるのが「縮小衰退型」のパターンです。
次回は、
この「縮小衰退型」のパターンを見ていきましょう。



























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