易経とキャッシュ・フローの沼No5 ~百円均一「ワッツ」~
- 赤田 元日出

- 2025年8月31日
- 読了時間: 7分
百円均一市場は、
大手4社(ダイソー、セリア、キャンドゥ、ワッツ)が独占してきました。
近年は、百円にこだわらずに均一価格で販売するショップも登場して
人気を得ています。
その一つが、「3coins」で、税込み330円での販売を主体としています。
その結果、
百円均一という言い方が適当ではなくなってきたので
「均一価格ショップ」や「価格均一業態」という呼称が使用されるようになってきています。
その価格均一業態について
今回から、3回にわたり、キャッシュ・フローを分析してきたいと思います。
ワッツの分析から始めるところですが、
その前に、
大手4社について、売上を概観してみましょう。
なお、ダイソーは上場企業ではありませんので、各種データよりグラフを作成しており、
他の3社については、有価証券報告書からデータを入手しています。

それぞれの売上高をみると、
1位 ダイソーが6750億円
2位 セリアが2,363億円
3位 キャンドゥが833億円
4位 ワッツが612億円
です。
ダイソーが、他の追随を許さずに独走している状況です。
業界としては、4社で売上規模は1兆円となっています。
そして
各社とも、基本的に売上高は、年々増加傾向にあります。
特にダイソーは、直近2年間は、前期比で7~8%の増加率となっており
他の3社の増加率3~5%と比較しても突出いています。
ダイソーの独走と言いましたが
差は縮まるどころか、離される一方になってきています。
そんな中、
頭角を現してきたのが「3coins」です。
3位キャンドゥ、4位ワッツと売上高を比較してみます。

3coinsは、
株式会社パルグループホールディングスの一部門「雑貨事業」の中核をなします。
「雑貨事業は、販売価格330円(税込)の商品を主体に、既存の100円ショップよりファッション性を高めた雑貨を販売する「3COINS」のほかナチュラルテイストの「サリュ」、アクセサリーとバッグ主体の「ラティス」を展開しています。」(株式会社パルグループホールディングス「第53期有価証券報告書」より)
上記の説明のように、
雑貨事業には、3coins以外の販売部門が含まれていますが
すべて3coinsとして検討してみます。
グラフをみると
3coinsの売上高は、キャンドゥやワッツと比較して
売上高が急激に増加しています。
2023年には、ワッツに追いつき、
2025年には、キャンドゥの尻尾を捕まえました。
3coinsの利益を見ると
しっかりと利益を確保しています。

現在2位のセリアは、3回目で分析予定ですが
業績内容に少々ふらつきが見えますので
3coinsの勢いが止まらないようですと立場が逆転する可能性もあります。
それでは
概観を終了して、業界第4位のワッツの分析に入ります。

損益について、
毎期売上高を増加させており、しっかりと利益も計上しています。
当期の好調理由を出店数で確認してみます。
「出店状況につきましては通期計画の160店舗に対して156店舗の出店を行いました。一方、不採算店舗の整備や母店閉鎖等による退店が113店舗(うちFC5店舗)あり、当連結会計年度末店舗数は、直営が1798店舗(48店舗純増)、FCその他が14店舗(5店舗減)の計1812店舗となりました。」(有価証券報告書)
次に、
キャッシュ・フローについて
資金を純増させる年と、純減させる年が交互にきています。
とくに第30期は、40億円という大きな営業キャッシュ・フローが計上されていますが
有価証券報告書によれば、
連結会計年度末日が金融機関の休日だったため、
入金出金が翌月に行われたことが要因のようです。
各期を見てみましょう。
ワッツは、借入があるので、財務活動キャッシュ・フローには、元本返済が計上されています。
また、借入や自己資金を活用して、投資活動をおこないますが、主な使途は出店に関するものです。
第26期・・・「拡大成長型」:十分な営業キャッシュ・フローがあり、現預金は純増しています。
第27期・・・「縮小衰退型」:フリーキャッシュフローがマイナスとなり、財務活動キャッシュ・フローも
マイナスのため、現預金は減少しています。
第28期・・・「拡大成長型」:17億円の営業キャッシュ・フローを創出して、現預金は増加しています。
第29期・・・「縮小衰退型」:再びフリーキャッシュフローはマイナスとなって、現預金残高は減少しています。
第30期・・・「拡大成長型」:40億円もの営業活動キャッシュ・フローが計上されました(決算日が金融機関の休業
日に当たった)。その結果、現預金残高は93億円になりました。
以上をまとめると
売上は右肩上がりで毎年増加していて、利益も黒字を継続していて好調といえます。
キャッシュフローをみると、
投資活動キャッシュ・フローについて、出店による支出が大きな金額となっており
今後も、営業キャッシュ・フローで賄っていけるかが不安材料といえるでしょう。
その場合、
財務活動キャッシュ・フロー(借入、出資)で資金需要を補填することも考えられますが、
将来的に、返済や配当金の資金流出に耐えられるか、これも懸念されるところです。
そこで、
今後の経営状況はどのようになるかを、易で占ってみました。
「坤為地2爻(こう)変、地水師に之(ゆ)く」
を得ました。

坤為地は、6爻のすべてが陰です。
坤為地は、陰を代表する卦で
包容、調和、統一のはたらきを意味します。
また、性質はあくまで従順です。
卦の説明には
「君子往(ゆ)くところあり。
先んずれば迷い
後るれば主を得て、利あり」
とあります。
意味は、
「あなたがどこかへ行こうとするなら、
あるいは何かを為そうとするなら、
先頭に立ち、指導する立場に就くと迷いが生じる。
ここは相手をたてて、一歩後についていくくらいの余裕があれば、
きっと望ましい人物に出会う」
です。
これを、ワッツに当てはめてみると、
均一価格市場では、
主導的立場、つまり業界一位を目指すのではなく
従順な姿勢で、今のポジションを維持するのがよろしい。
そして、今のポジションを堅持するために
競合他社に付いていくならば、
きっと、支援してくれるものが現れるだろう、
つまり、
ワッツの株式を取得して親会社となる出資者が登場するのかもしれない、
と読めます。
その成り行きは、
「地水師」です。
この卦の形は、
上に「地」があり、下に「水」が位置しています。
本来、地上(湖上)に満々とたたえているはずの水が、地の下にあります。
地と水の位置が逆転しているので
「水という険難が、従順な大地の底に隠れている」ことを表しています。
卦の説明によれば
「丈人(じょうじん)なれば吉」
とあり、
「優れた指導者を仰げば吉である」という意味です。
そして、
この卦は2爻の陽爻が、他の陰爻を従えているイメージです。
卦において、2爻と5爻は大事な位置で
2爻はおおよそ参謀的な意味合いをもち
5爻はおおよそトップの意味合いをもちます。
これをワッツに当てはめてみます。
「事業は引き続き安定的に進展していくが
根底では、問題が次第に大きくなっていく。
現状からみると、やはり投資(出店)継続に対しての資金不足が考えられる。
その状況を打破するために
資金支援を行う親会社が現れて、
その親会社から指名された有能な新経営者が会社を率いていく」
と解釈してみました。
以上の易占いをまとめます。
ワッツは、業界4位のポジションを維持していくのが最善の策で
そのためには、競合他社に歩調を合わせるように、
絶え間ない出店を行っていく必要がある。
しかし、今の均一価格市場をみると
新興勢力も現れて、市場のパイ争いが激化しつつあり
出店をどれだけできるかのチキンレースの様相を示しつつある。
ワッツの出店資金が不足するときに、
大きな支援者が現れて、親会社としてサポートしてくれるであろう。
そして、会社内部から、有能な経営トップが抜擢されて
会社をリードしていくだろう。
今後のワッツについて、このように占ってみました。
これからのワッツについては
毎年の出店数やその投資額、および資金残高に注目です。
次回のキャッシュ・フロー分析では、
業界第3位のキャンドゥを検討します。
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